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引きこもりになる原因

 引きこもってしまう若者の心情を、親たちは理解できないでいます。なぜなら、子供が引きこもるケースのほとんどは、親たち自身が一生懸命に育てている場合が多いからです。ただし一生懸命の内容に問題があるのです。
 それは、親の価値観と子供の気持ちとのくい違いから、子供は心を閉ざしてしまうことが多いのです。子供の性格や能力についての把握と理解が不十分なことに原因があるだけに、親たち自身が、子育ての過ちを理解できないのです。
 両親(特に母親)が子供の幸せについて一つのものの考えに固執し、自分の固執した価値観を子供に押し付けてしまいます。親もまた、自分の親からそのような価値観で育てられたかもしれませんが、自分と子供とは、生まれつきの性格やら能力が違うということを見落としてしまっています。
親からこだわりや概念を押し付けられた子供は、自由にものを考えたり、自主的に行動したり自分に適した世界を作り出すことができなくなってしまっています。さらに子供は、親の期待に応えようとがんばってしまうために、親の期待することを満たしたとしても満たせなかったとしても、自分らしい生き方と価値観を見失ってしまうのです。
 特に親の望みを満たせなかった場合、深刻な事態を招くことになりがちです。親の価値観が世間一般の価値観でもあると幼いうちから思い込んでしまっているので、その価値観を満たせない自分は、社会から受け入れてもらえず批判されると思い込んで、先の見えない自己否定に陥るのです。
 親が子供に期待するばかりでなく、子供の能力や性格をもっと客観的に見つめて、その特徴やら傾向を把握し、その子にふさわしい将来を考えた子育てをしなければならないのです。自分が望む理想を、一方的に子供に期待してはいけなかったのです。
 引きこもる若者は概ね、純粋で傷つきやすく、繊細で几帳面で悩みやすい人柄です。なかには先天的に偏った性格を持っていて、親の心情がまるで理解できずに独りよがりに悩んでいる子供もいますが、親は全般的に、子供の心を理解することができず、ただ一方的に価値観と期待を押しつけて、子供を苦しめていることが多いのです。
 子供にとっては、親の価値観が自分自身の価値観として無批判に受け入れて成長するので、それを満たせなかったら、自分自身の価値が崩壊してしまうのです。その結果、自分自身のプライドを守るためにも、傷つかないようにするためにも、その程度の仕事にしか就けないのかと周囲から軽視されないためにも、世間から身を隠していた方が安全と思って、身を潜めてしまうのです。人と顔を合わせて批判されないために、外出することもできないのです。傷つきながら、多くを学び、成長するには繊細過ぎて、過剰に憶病になってしまっているのです。

若年性認知症

 10年間引きこもっていたけど、仕事ができるようになりたいと相談に来た女性を、働けるところまで治し、仕事に就かせたところまでは良かったのですが、新たな悩みが発生したことがあります。それは、職場で指示されたことをすぐに忘れてしまい、仕事がちゃんとやれないという訴えでした。いわゆる若いのに健忘してしまう若年性健忘(認知症)にかかっていたのです。
 引きこもっていたとしても、その間に、家族や友達との会話や交流が多少なりともあれば、若年性認知症にかかり健忘が生じることはなかったのですが、彼女の場合は10年間、親とも誰とも、ほとんど会話がなかったのです。
 親と顔を合わせて会話でもしようものなら、親はいつも自分を責めていたと述懐していました。それゆえに、特に後半の5年間は、彼女は誰とも全くと言っていいほど会話をしないで、部屋の中に閉じこもっていました。そうした生活が、彼女の脳の記憶機能にダメージを与え、健忘としての記憶障害になってしまったのです。これを修復するには、大変な時間と根気が必要となります。
 人は会話による人とのコミュニケーションがなくなれば、脳細胞の委縮が起こります。特に、短期記憶の場所である、前頭葉のワーキングメモリーとして働く部位と海馬がダメージを受けます。本人も自分の記憶障害を自覚するような状態になってしまいます。
 また、引きこもると、昼間外に出ることがなく、カーテンを閉め切った部屋の中で過ごすことになります。太陽光を浴びることもない、運動不足の生活が続くと、重要な脳内物質であるセロトニンの分泌量を減らしてしまうのです。

~一日に少なくとも20分以上は太陽光線を浴びる必要がある~

太陽の恵
 セロトニンを脳内で増やすための2500ルクス以上の照度(明るさ)を必要とします。部屋に電気をつけていたとしても、100~250ルクスしかない照度では、どうにも足りないのです。私たちは一日に少なくとも20分以上は、太陽光線を浴びる必要があります。日焼けなどを気にしないためには、朝日を浴びて散歩することをお勧めします。
 人が精神的に健康な生活をおくるには、脳内にセロトニンの十分な分泌を促すことと、ある程度の太陽光線を浴びることが必要です。

~運動によって脳細胞は修復される~

 また、運動することが少ないと、BDNFという神経栄養因子が生産されません。BDNFは、脳の神経細胞の成長や維持、新生に関わっています。したがって、栄養作用により、現存する脳の細胞の機能と生存を増大させ、新しい細胞の誕生を促すのです。私たちは家の中にこもって適度の運動をしないと、ダメージを受けた脳細胞の再生が行われないので、脳機能がどんどん悪化していくのです。

~脳内で、セロトニンを作る栄養が必要~

 心の病を治し、精神面での前向きな充実した毎日を送るためには、セロトニンという脳内物質は欠かせないのです。
 そのためには、セロトニンの前駆体(セロトニンが出来るの一つ前の物質)であるトリプトファン(必須アミノ酸の一種)を摂取しなければなりません。これは肉のたんぱく質に多く含まれています。セロトニンを薬として飲んでも、脳内でトリプトファンから作られたものしか能は受け付けません。(血液脳関門の仕組み)
 私たちは、食物から、トリプトファンとビタミンB6を取り、太陽光線を浴びた時に理想的に脳内でセロトニンが生成するのです。

トリプトファンとビタミンB6

 トリプトファンというアミノ酸は、肉類のたんぱく質の中に多量に含まれています。大豆類の植物性たんぱくでは相当多くの量がひつようです。
 ビタミンB6はキャベツなどの野菜に多く含まれています。果物でいえば、バナナなどはトリプトファンとビタミンB6がバランスよく含まれています。でも太陽光線は必要なのです。 

S遺伝子

日本人は、精神的に繊細で傷つきやすい遺伝子を持った民族です。それを証明しているS遺伝子が見つかりました。 
 S遺伝子とは、セロトニンの再取り込みのセレプター(トランスポーター)の数を決めている遺伝子で、少ないのがS遺伝子、多いのがL遺伝子です。
 SS,SL,LLの3種類の組み合わせがありますが、遺伝的に傷つきやすいのは、SS(約66%以上)とLS(約32%以上)で、合計すれば日本人の98%以上の人が、傷つきやすい遺伝子の持ち主というわけです。
 S遺伝子の人はセロトニンの分泌量が少ないのです。したがって、不安を感じやすく、うつ状態にも陥りやすいといわれています。いわゆるセロトニン不足による、心の病にかかりやすいともいえるのです。
 日本では現在32万人が引きこもっているといわれていますが、引きこもりまではいかなくても、最近の若者は、非常に精神的に弱くて壊れやすいところがあるのです。
 引きこもっている人を、打たれ弱い「ガラスのエリート」と表現される場合がありますが、こういった生まれつきの性格を配慮しなければなりません。
 エリート人生を歩んでいた人間が、ちょっとした挫折ですべてがダメになったと思い込み、一気に引きこもりに陥るケースが少なくないのも現状です。彼らは、プライドが高く、挫折を他人に知られることを非常に嫌うので、自分の本当の心情を誰にも語ろうとしません。ゆえに、家族も子供の苦しみに気づかないのです。